主人公達が通う梁ノ宮高校(ハシノミヤ)には、問題が山積みである。
絶えない落書き、イタズラ、陰湿ないじめ、影の暴力、匙を投げた教員……。
そして風紀の乱れを律するべく動く本校生徒会、所属する生徒達。
各々が思春期独特の言い様のない不安感や焦燥感、日常を費やす欠落感に苛まれながら過ごしていた。
バラバラの目的と背中合わせの手探り。
つぎはぎの様に集まった彼らが、それでも素直な頃を思い出しながら不器用なりに友愛を深めていく。
果たして、乱れた学校の風紀は? 費やされた彼らの青春の行方は?
こうして彼らの『本当になりたい自分』を取り戻す追憶の青春が、今、始まる――(公式より)
学園を舞台にした青春物語……ではあるけれど、シリアスさが多め。
連作であり、本作はVol01なので物語的には当然ながらプロローグである。
何気ない日常の一幕も挟みつつ、今回主に追っていくのは、陰湿なまるで血で書いたような落書き。
だがしかし、不可解な点も残るものだった。
![【Vol01】YouthSignal―YSSP版ー [STail]](https://img.dlsite.jp/modpub/images2/work/doujin/RJ310000/RJ309768_img_smp3.jpg)
風紀を正すため、生徒会内で議論を交わすも、結局はパトロールの強化という結論に落ち着く。
犯人の意図がどうであれ、生徒会としては、実害を無くす為に動く。それしかないのだ。
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時間の延長を決めた初日のパトロールで再び異変は起こる。
教室に血のようなもので描かれたおびただしいほどの文字。

そして現場から立ち去る女子生徒。


追いつき、よくよく思い出すと、それは以前使い走りをさせられていた少女だった。
この場面でVol01は幕引きを迎える。
未だ犯人像も、目的も見えず。
この物語における出会いと、始まりにすぎない。
だが十分に続きを読んでみたいとおもわせてくれるものだった。
アーカイブに、解決未解決含め過去に起きた事件のあらましも。
作中で詳しく説明されるようなものはまだなかったと思うけれど、単なる設定資料集でなく次回以降に繋がりがあるのだろうか。

図書室で出会った金蘭咲綾も気になるところ。
不思議な魅力があった。
例えるならサクラダリセットの相麻菫みたいに感じた。(サクラダリセットを知らない人はごめんなさい)
あの出会いがどう繋がり、どう影響を及ぼすのか。

この作品は同人作品であるけれど、主要人物はフルボイス。
特に、無表情で不愛想なクールなヒロイン。だけどなんだかんだ言って主人公の相棒。
浅見ゆいさん演じる東雲静乃が良かった。
主人公とは話すけれど基本毒舌。
![【Vol01】YouthSignal―YSSP版ー [STail]](https://img.dlsite.jp/modpub/images2/work/doujin/RJ310000/RJ309768_img_smp2.jpg)
けれど、

クールなヒロインが主人公にからかわれて表情が変わったりするのがすごく好き。
あと単純に浅見ゆいさんが好き。
その他にもキャラクターボイスを充てるのは、同人ながらも音声作品等に数多く出演している方も多く、安心して聴ける、レベルの高いものだった。
また、視点が変わる群像劇の形も良かった。
主人公は、納得のいかないことにはおかしいと言い切れる人物だけれど、視点が変われば、疎まれるほどではないにしろ苦手だと思われていることが良く分かった。
多くの人物の内心が分かることは物語を理解するうえですごく助かるし感情移入もしやすい。
次回作以降、おそらくどこかしらで分岐もあるだろうからより楽しみである。