リンゴ農家の一人息子ヒロサキは、幼馴染のリコとともに平穏な生活を送っていた。人里離れた山奥で自然と戯れるヒロサキたち。漠然とした将来への不安を抱きつつも、彼らは変わらない日々を過ごす。そんなある日、ヒロサキは倉庫で奇妙な音を耳にする――
「誰だお前」「私です!」「だから誰だよ」
空駆ける恋愛ADV――もう一度、こんにちはを言うために。(ノベルゲームコレクションより)
この作品を語る上で最も斬新な設定はヒロインが逆さまだということである。
立ち絵も常にメイラは逆さまに。
こちらは作中で唯一向かい合って話すことができる、重要な場面ではあるけれど、二段ベッドの一段目から見た視点である。
重力が逆の世界から来た少女メイラとの出会い。
それによって変化していくヒロサキの生活。
やがてメイラに元の世界を見せるために行動していく過程で、こちらの世界の真実に気づくことになる。
気づいた上で、メイラとの別れを選択する。
こんにちはから始まった物語。けれどさよならはなく。もう一度会えることを願いながら。
総評
メインロインはメイラなのだが、幼馴染であるリコの√も存在し、メイラbad、メイラgoodの三種のエンディング。
そのあとタイトル変化が起こり、スタートするとその後の、トゥルー的な物語も。
世界観の全容も明らかになる。
もしエンディング三つ終えた時点でプレイを終了していたら満足のいかないところだっただろう。
こういったものは嬉しかった。
共通ではリコとの会話でテンポよくコミカルに進む。
ただそのせいで、恋心はありながらも親友のような扱いで、ヒロインという気がしなかったのが残念。
同人作品ながらきちんとしたOPムービーがあるのは良かった。
総じて、リンゴを象徴とした重力の物語。雰囲気が軽くなりすぎず、かといって重くなりすぎず、ちょうどいい気持ちでプレイできる作品。