あらすじ
時を祈り、一瞬を求める。
いつもと変わらぬ放課後の教室。
そこに現れた親友、永輝(とき)は瞬にこう告げる。
「この世界は、近いうちに滅亡するかもしれないらしいんだ」
永輝の元に届けられた予言。
この学校には魔女がいて、魔女から届けられる予言は99%的中する。
瞬はこの予言を覆すことを決意し、この物語の主人公として立ち上がる。
瞬の元に集まった12人の仲間と共に、残り1%の可能性をに向かい、進みだす。
全てはこの日々を、幸せな世界を続かせるために。
第一√ふたつのこころ
通常一人一つのはずの予言書なのだが、瞬の元に届けられたのは4つ。
その予言書の内容を覆し、魔女の予言も絶対ではないことを証明し、世界を続かせることを目的とする。
予言書は一度謎の集団に奪われ、奪い返せたのは3つのみだが、3つを覆せれば十分に魔女の予言の否定になり得ると信じ、行動していく。
意を決して第一の予言書を開くと、そこに書いてあったものは。
仲間と一緒に過ごす中、その中の一人、葵の危うさを知る。
葵は人の嫌いになり方が分からなかった。
感情を教える、きっとそれが葵を死から回避させる可能性へと繋がり、予言を覆す結果に直結する。
過去の辛い体験により、周りにどれだけ汚い言葉をかけられても愛されているからだと思い込んで。
辛いことを嬉しいことだと思い込んで。
正しいことが正しいことだと伝わらなくて。
それでも、やっと痛みに気づけた。
本音を吐き出せた。
好きだから傷つき、好きだから嫌えた。
大好きだった、守れたはずの親友の、再会しても一度も見せてくれなかった大好きな笑顔を。
それをようやく、見ることができた。
喜怒哀楽がない無感情ヒロインというわけでは決してない。
相手を大切に想うからこその行動で互いに傷つけあってしまった。
だからこそ、本音を言えた後の関係はこれまでよりずっと強固に、より親密に。
第二√以降は葵もいろいろな表情や感情を表せて魅力的になっていった。
第二√守るべき王女
続いて瞬は第二の予言書を開く。
そこに書いてあったものは。
王女とは誰なのか、いまいちピンとこないままだったが、この内容を心に留め置く。
やがて仲間の一人、美也子が公園で暮らしていることを知る。
公園で暮らしてはいるが、家自体は裕福であることから、王女=美也子なのではないかと思うようになる。
美也子の抱える問題それは記憶障害だった。
美也子の夢は、今はもう記憶から消えた、大好きだった人とまた同じ家に住みたい、
その夢を叶えるために、瞬は正しい道を進んでいると思っていた。
正しいと思って進んでいた道は、美也子にとっては正しくはなかった。
居座った感情と消え去った記憶が美也子を不安定にさせていた。
瞬は夢を叶えさせることはできない。最後に決めるのはいつだって本人なのだから。
何が正解で、何が不正解かなんてわからない。
けれど、諦めたくない。大切な二人の親友の想いを繋げたい。
そばにいたからこそ生まれた道を、その温もりが示す道を、歩んで欲しい。
美也子が探していた温もりを見つけたとき、一つ、記憶が刻まれたとき。
前を向くことができた。
何度忘れてしまっても、二人が共にいれるのなら、前を向いていくことができるんだ。
第一√ではどうするべきかを模索しつつも、迷いなく予言を覆すため、葵を救うため行動していた。
けれどこの第二√では瞬の葛藤も多分に描かれる。
そんな瞬を励まし勇気づける永輝の存在が頼もしかった。
第三√初恋のクローバー
手持ちの中では最後の予言書を開く。
そこに書いてあったものは。
まずこれは誰に宛てられたものなのか。
また仲間内の誰かなのか。
だが瞬には初恋の記憶が抜け落ち、人を好きになるという感情が分からなかったことから自身のことだと感じた。
莉亜との仮の恋人関係を築くことになり、莉亜のことを知って、少しずつ温もりを思い出して。
伝えられなかった想いを伝えられて。
この気持ちを芽生えさせてくれた少女は、これからもずっと見守ってくれる。
途中から、ああそうなんだろうなと分かっていつつも、涙腺を刺激される、そんな展開。
クローバーに込められた想い。
最後に見つける便箋。
その最期に、瞬と一緒に涙してしまった。
From Twelve 世界から13番目の君へ
いろいろなことがあった。
初めの頃は何も信じていなかった。
予言を受けても、それをどこかで信じられない自分がいた。
それでも皆といて、次第に自ら進んで行動した。
皆のことが大好きで、誇れる仲間で、いつまでも一緒にいたいとそう望んだから。
文化祭は成功し、クリスマスを迎えるようになっても世界は続いた。
だが、四つ目の予言に向き合わねば何も終わってはいなかった。
新学期を迎え、変わっていく学校、変わっていく世界。
信じることができる仲間が少なくなっていき、これまでしてきたこと、信じてきたことの意義を見失う。
それでも。
仲間たちの本当の想いを。
全ての記憶を思い出せたとき。
最後には許し、また笑いあうことができた。
いつかこのかけがえのない日常を、再びみんなと過ごせるように。
時を祈り、一瞬を追い求めた。
感想
プレイ時間目安20時間の大作。
無料でプレイさせてもらってるのが申し訳ないほどに、心に残る泣きゲーだった。
展開がいくらか予想がついても、それでも泣いてしまう。
ラスト付近は本当に久々にゲームで泣いてしまった。
主要な登場人物が主人公含め13人と非常に多い中、誰が欠けても成り立たない仲間たち、そう感じさせてくれた物語だった。
基本的にはどの√も抱える問題が重い中、それでも明るく、笑わせてくれる場面も数多くあったので、だれることなく読み進めることができた。
ヴィジュアルもきれいで申し分なく、音楽も穏やかなものが多く、物語を暖かくさせてくれた。
またボーカル曲も完備していてED時の余韻に十分に浸ることができた。
けれどBGMモードがないのが非常に残念なところ。
……マジでサントラとか出てない?あれば絶対に買うのだけれど。
もちろん、欠点がない、こともない。
けれど存分に泣けた。
存分に力のある作品だった。
それだけで十分に人に勧められる。
最後はやっぱり、さよならではなく、またな、と拳を合わせる。
その終わり方がまた清々しかった。
以下OP。