あらすじ
年齢天秤──。それは『所有者』の肉体年齢を15年下げ、
『相手』の肉体年齢を15年上げるという不思議な道具。
自分の低身長にコンプレックスを持っている中学生ハナビと、日々虚無感を抱き生活していた所有者、シゲの二人の物語。
感想
大人っぽい男性が好きだという情報を信じて、年齢天秤を使い、大人の姿で接する。
そうすることで、以前と比べて少しずつ元気がなくなっていっていた理由がわかり、同時にどれだけ自分のことしか考えていなかったかを知る。
そして秘密を共有し、直面している問題に立ち向かうことになる。
一方シゲの方も、年齢天秤の使用により子どもになったことでユリアと知り合う。
ユリアにとっては普通のことばかり。けれど何気ないそれに救われていった。
立ち直るきっかけをくれたユリア、その友達を助ける手助けをすることになる。
この作品、思いっきりミスリードにしてやられた!
推理ものではないけれど、その一点の衝撃に尽きる。
まあこれは自分が何も深く考えずにプレイを進めていったからかも?知れないが。
音楽やビジュアル、その他システム等は特筆すべきところはない。
けれど、基本的にシナリオ一点評価の自分にとっては驚くべき部分があったというだけで高く評価できる。
序盤は少し退屈でもあった。
年相応の恋愛をしているハナビよりも、どうしてそんな無気力な生活になってしまったのかと疑問に思う、シゲの方が気になっていた。
だが後半からの展開は二人共の展開が同じくらい気になり、最後の展開を読み終えた後の読後感も良かった。
そういった気持ちにさせてくれる、さすがの作者の構成力だった。
見た目が大きく変わろうと、具体的な行動を起こさない限り状況は何も変わらない。
そこは大人だろうと子どもだろうと変わらないということ。
ラスト付近のこの言葉が強く印象に残った。