物語
森の奥深く、とは呼べないまでも街からはそれなりに離れた場所、旅館ゆき。
この旅館にはちょっと変わったシステムがあります。
それはお客様、従業員ともにどんな格好をしてもOKというもの。平たく言えばコスプレOKというものです。
そんな一風変わった温泉旅館に、どうぞいらしてみませんか?
この説明を聞けばコスプレした美少女とのほのぼの温泉旅館での物語かとも思ってしまう。
けれど、重要なのは、まるで導かれるように、死者が訪れるということ。生者と同じ実体を持ち、何の違いもなく過ごすことができる。
あらゆる人の未練と向き合い、それに寄り添い、叶える。そんな物語。
一話ごとに区切られ、体験版部分は五話まで。その中でも少なくない死者を還らせる。
恋人とケンカ別れになってその帰り際交通事故に遭ってしまった女性。真剣での命のやり取り、斬り合いがしてみたかった現代のサムライ。
最終話を間近に死んでしまった漫画家。
そして従業員、見た目の年齢では最年長のヨシエさん。未練を解消するのに時間がかかると判断された場合は従業員となる場合もあるらしい。ヨシエさんは残した子どもが元気にしているか、それだけが心配だった。偶然にも旅館にその子どもが来られて、未練をすっきりとさせた。
体験版での最終話、五話。恨みと、騒ぎ。やってやってきたのは最近テレビのニュースで見た連続殺人犯。未練は殺す際にただ一人逃がしたこと。その人を呼びつけるために人質を取る。
だが、人質である傘は電話を拒否。逆上した犯人の包丁を春斗は受けてしまう。しかし春斗は死なない。死ぬはずがなかった。
春斗も過去にこの旅館を訪れ、従業員となった一人だった。
総評
体験版でこの引きは製品版の続きが気になる!主人公である春斗は生者だと思い込んでた!製品版購入を迷ってたからこその体験版プレイだったけど、これは予約確定!他にもいくつか買うつもりだけれどいの一番にプレイするつもり!
今からいろいろ妄想、願望が膨らむ。主人公である春斗がすでに死者であることから、ずっと生涯をともに寄り添うということは必ずしもハッピーエンドではないのかも知れないな、とか。必ず悲しい別れがあるのだろうな、とか。料理人を目指す小羽のあの弟子入りのときにかけた熱意の源はなんだったのだろう、とか。ヒロインの中では唯一の死者、ネコの生前、未練とか。タイトルが単純にはるとゆきではなく、はるとゆき、と句読点が使われていることに意味はあるのだろうか。春斗逝き、って意味なのだろうか。きっと、澄み渡る朝色よりも、のようにタイトル変化とかあるのだろうか、とか。
生き死にが関わる物語は悪くなれば陳腐、良ければ涙腺を大いに刺激される泣きゲーになる。けれど、できない私が、くり返す。並びに生命のスペアを書いたライター、中島大河さんの作品なので期待大。
システム的には特に不満はなし。(よほどじゃない限りシステム面での不満は元よりないが)chipsの充実はうれしい。旅館業務における基礎知識からネタにいたるまで多くの項目がある。ネタ気味で面白かったのはバニーガール。心と股間がぴょんぴょん!冒頭にあった説明通り、この作品には様々なコスプレが存在する。その中でもうわぁ、良いなこれ!と思わず興奮してしまったのがこれ!この四人の密着度!左側二人表情もいい!いやほんといいよこれ!最高!まさに股間がぴょんぴょん跳ねるね!
……、いつもの文じゃなく本音丸出しで書いております。ともわれコスプレ姿でのHシーンはこの作品での見どころの一つでもありますね!なお、体験版では七つのシーンが体験できます。
体験版部分であるからこそ、思う存分、重大なネタバレもありで書きました(主人公である春斗が死者だったこと)。7月末の発売が待ち遠しい!願わくば、涙腺が刺激されるほどの良きゲームでありますように。(コスプレHだけが魅力のキャラゲーにはなってほしくない)。