エロゲ感想記事としては初となります。拙い文章ですが、よろしくお願いします。
Twitterと違い、時数制限なしで思うままに文章を書ける喜びを実感。
ネタバレはある程度気にせず書いてます。ネタバレを嫌う人には申し訳ないです。
それでは!
物語
レールを外れ、ドロップアウトした者たちが集う場所、夜間学校「藤原学園」。
教壇に立つ主人公と向き合うのはたった三人の生徒と、その娘である少女。
彼女たちは卒業というゼロスタートを目指し、彼は手にすることができなかったものを求めていく。
はやてルート
抱える問題は家族との不和。望まれていたのは男子。家ではいないような扱いを受けていた、後になり弟が生まれてもその状況は変わらず。弟の壊した壺を彼女が壊したことにされ、家出を決意。その後は漫喫やファミレスで夜で過ごす日々だった。晴生が藤原学園に赴任、夜の街で絡まれそうになったときに助けられたことをきっかけに家に転がり込む。共同生活しているからこその距離感、それが本当に良かった。

りこルート
抱える問題は母子家庭。その中で溜まるストレスによる自律神経失調症。りこと深く関わるということは母親である綾子とも関わるということ。家庭の問題に関わるということ。常に金銭面、時間面、人間関係等様々な問題がある。子は母を。母は子を一番に思うからこそ想いがすれ違う。いらない子でないと言ってほしい。そして生きる意味を考える。晴生から教えられた、機械ではない、人間が生きている証明。それは機械ではできない驚きやドキドキするといった感情。それをりこに教え、また晴生自身も教えられた。このルートが晴生が一番精神的に救われたルートだったと思う。
きなルート
抱える問題は……いじめ。たとえ99%が幸福を占めていても、たった1%の壮絶な不幸があれば。道は閉ざされ、視界は黒く染め上げられてしまう。ずっとずっと残り続ける、消せない記憶。勉強が壊滅的にできなくとも、今までの教師たちとは違い、晴生は見捨てなかった。それは同じだったから。先に絶望して、失望して、打ちのめされて、痛い目を見た人間だから。だからこそ理解できることもある。生きる目的を見失いかけていた彼女に生きる目的を与えた。
いじめの回想のシーンは本当に見てられなかった。内容が理解できるよう速読しつつ飛ばしながら読んだ。推奨攻略順は厳密に言えばないと思うが、はやてルートより先にプレイしてはいけないと思った。あのコンビニ店員の印象が180度変わってしまうので。
総評
これは、タイトルがボクらの迷子教室とがついてるように、主人公の成長物語でもある。私立学校での挫折を味わい、父親の条件に従い夜間学校に勤めることになる。 最初はハズレだなと思っていた。けれどだんだんとここにきて良かった、何か掴めるかもと思えるようになる。母親のような、立派な教師に。親のように慕われて、生徒を導ける人間にというかつての夢に向かって。三人の生徒を導くとともに、自身の弱さも見せ、ヒロインたちにより救われる。個別感想でも触れたけれど、りこルートが一番救われたと思う。
システムはヒロインの後ろ暗い心の内が覗ける逢魔が印象的。他に類を見ない機能であるので新鮮ではあった。(場面はきなルートの一場面)。
音楽はOPと各ヒロイン毎に用意されているED曲が良質(どこかbumpっぽさもあるが)。
病床の父親の親心。はやてルートでそれが一番よく描かれていたけれど、どのルートでも父親の不器用な、わかりづらい優しさがあった。
何度か、夜は巡っていく、というような表現がされており、タイトルを、そして夜間学校だということを意識させられる表現もあり。
人の人生を祝福する神様なんかいなくて、いるとしたら人の人生をあざ笑う疫病神。それに対して、抗う、抗い続けられるように。夜巡る、ボクらの迷子教室、心に残る言葉も多い作品でした。